大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(あ)1696 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人島田武夫の上告趣意第一点について。

論旨は、公職選挙法二五二条一項の選挙権及び被選挙権の停止は刑罰であるにか

かわらず、被告人は法律の定める手続によらないでこれを科せられたのであるから、

原判決は憲法三一条に違反すると主張する。しかしかかる論旨は原審において主張

されず、原判決の判断を経ていない事項に関するものであるから適法の上告理由と

ならない。のみならずこの選挙権被選挙権停止の処遇は、いわゆる選挙犯罪の処刑

と共に定められるのであつて、その手続は、裁判所が公判を開き、その選挙犯罪に

つき証拠調を中心とする審理を行い、有罪と認める場合同時に量刑について考慮し

て処断刑を定めるに至る過程と全く表裏不可分の関係において終始するのである。

殊に同条三項は、犯罪の態様その他情状によつては、一項の停止に関する規定を適

用せず、またはその停止期間を短縮する等具体的案件について裁判によつてその処

遇を軽くする途をも開いているのであるから、かかる関係は、選挙犯罪そのものの

審判と別途に考えられるものではなく、従つて所論のようにことさらに右処遇のみ

を切り離し、法律による手続によらないで科せられると断ずる主張は採用すること

ができない。また選挙権被選挙権停止の規定が自動的に適用されたとしても、これ

は罪となるべき事実そのものではないから、所論のように刑訴二三五条一項に違反

するところはない。要するに原判決は法律の定める手続によらないで被告人の選挙

権被選挙権を停止したのではないから、所論違憲の主張はその前提を失う。(論旨

の理由なきことについては、なお昭和三〇年(あ)第一六九九号同年一一月二二日

第三小法廷判決参照)。

同第二点について。

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所論は、事実誤認並に事実誤認を前提とする法令違反の主張に過ぎないから採用

できない。(被告人が金員の供与を受けたものであつて交付を受けたものでないこ

とは原判決の詳細な説明によつて肯認できる)。

同第三点について。

所論援用の判例は、負担付供与の場合には、現実に供与した金員部分は受供与者

から没収追徴できないに反し、いわゆる請負的供与の場合には全額を没収追徴でき

るという趣旨を判示したものである。ところで原判決は、所論のように判示(八)

の部分だけを切り離して考察すべきものではない。(八)の中にも「自己の自由裁

量をもつて」本件金員を処分云々の語があるのであるが、更らに(七)は、A等は

前回と同様、該金円の処分方を全く被告人の自由意思に委ね、この点について何等

具体的な指示を与えなかつたものであり、従つて若し被告人に於て、自己の選挙運

動に対する報酬としてその全部又は一部を自ら取得しようと思えば、その思つた通

りにしても差支ないとの趣旨をもつて、前示金員を被告人に手交したものであつた

こと」を認定している。これ等の判示を綜合して考えてみると、原判決は所論の事

実を請負的供与と認定したものであることが明らかである。してみれば原判決はむ

しろ所論援用の判例の趣旨に添つたものであつて、これに違反するとの論旨は理由

がない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三一年三月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

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裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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